Article: MIXMATCH_#0
MIXMATCH_#0
自分の暮らしや用途に合わせて、アイテムを組み合わせて作るバッグのシリーズ「MIX MATCH(ミックスマッチ)」。好きな素材や色のパーツを選ぶことができる、このシリーズはどのようにして生まれたのか、トリコテのデザイナーの思いをたっぷりご紹介します。
いつもの暮らしに彩りとアクセントをプラスする「トリコテ」は、デザイナーの魚谷勇人と落合慶子で、2011年にスタートしたニットライフスタイルブランド。オリジナルのものづくりにこだわり、生地の開発からテキスタイルデザインまですべて国内生産。カラフルで遊び心のあるデザインのアイテムが並びます。
「トリコテのデザインは、コンセプチュアルな部分や素材、テクニックなど、土台のベースを僕が組み、落合は色使いや仕上げなど、最終的な落とし込みを担当しています。トリコテは女性をターゲットにしたアイテムが多いのですが、僕の男性目線と落合の女性目線が両方入ることで、もっとユニセックスで楽しめるものを提案したいという思いがずっとありました」(魚谷)
コロナ禍を経て大きく変わったライフスタイルに寄り添う、ユニセックスで楽しめるバッグを、と考えられたのが「MIX MATCH」だったそう。
「どんどん小さなバッグが求められるようになり、デザインされたものではなく、自分でカスタマイズすることに価値を見出すような流れを感じています。また外出する機会が減るなかで、携帯ひとつだったり、最小限のものだけを持ち運ぶというスタイルになりつつあるのかなと感じていて。ミニマムなものをデザインにしてから、それぞれの人がニーズに合わせてカスタマイズできるものを持ち運ぶ、というところから生まれました」(魚谷)
ストラップ、スマートフォンケース、ウォレット、アクセサリー、バッグをベースに、素材違いや別のアイテムなどがどんどん増えています。
「最初はニットブランドであることから外れて、レザーブランドの『iqmi tokyo(イクミトーキョー)』さんと一緒に作るというところからスタートしました。ニットだけではなく、レザーやPVC(ポリ塩化ビニル)など、素材の組み合わせができるのも、このシリーズには欠かせないところ。カスタマイズはいろいろなものを組み合わせられる楽しさが一番のポイントだと思っているので、素材、色、アイテム、サイズ感をいろいろな用途に合わせて選べるよう、バリエーションを増やしました。選ぶ楽しさをもっと提供していきたいですね」(魚谷)
トリコテのアイテムは、柄だけではなく色でもデザインされているのが特徴。ピンクやグリーンなどの色使いが、コーディネートのなかでアクセントになります。
「差し色になるような色や柄を使って、持っているものに合わせられるようなものづくりをしています。「MIX MATCH」では、一色で映えるものだけでなく、ベーシックな黒や白など、誰にでも使えるような色をあえて使っています。服との組み合わせでさりげなく使えるような色使いをしていて、バリエーションとしては新しいアイテムが出ていますが、持ちやすい色を配色として組んでいるので、使う人に合わせやすい色になっていると思います。
また通年使えるレザーや、素材的には夏ですが雨に濡れても大丈夫なPVCにプラスして、もこもことしたニットなど、素材で季節感を出せるようにしています。アイテム的には基本的には魚谷が作りたいものがありますが、例えば車のキーをつけられたらいいよねとか、お財布がバッグだったらいいよね、という提案はしたりします」(落合)
さまざまなアイテムがあるなか、一番の人気はいろいろなものにつけられて汎用性の高いコードストラップ。
「実は最近の新作バッグも持ち手がつけられるよう、Dカンをつけた仕様に変えています。「MIX MATCH」の延長としてデザイン性の高いバッグのひもを変えて、よりファッショナブルなアイテムとして楽しめるものを増やしています。ストラップを太いもの、細いもの、短いもの、長いものなど、自分で変えられると、カスタマイズの幅がもっと広がりますよね」(魚谷)
また注目してほしいのは、今年登場したマクラメ編みのサコッシュ。ひとつひとつ職人が手編みしています。
「基本的に手編み商品は海外製が多く、日本で手編みというのはあまりないので驚かれます。一般的には採算が合わなくてやらないようなことを、”made in トリコテ”としてこだわりたいですね。事務所で職人が作業していて、作れるものが限られているので大量生産はできないのですが、近い距離感でものづくりができるのですごくプラスになっていて、品質的にも信頼ができます。国内の工場や職人など、直接作る人とやりとりして、一緒にものづくりをするということをクリエーションの一番のモットーにしています」(魚谷)
ショールームでは月に1回程度、マクラメ編みのワークショップを開催して、自分のオリジナルを作る楽しみをプラスの価値観として提案するなど、ますます幅が広がっていきそうな「MIX MATCH」。次回からは、実際に使う人の声を聞いていきます。
Photo & Design : Nozomi Nishi
Text & Edit : Mayumi Akagi