Article: 足元から、気分が変わる
足元から、気分が変わる
足元から、気分が変わる
TRICOTÉの靴下づくりで
大切にしていること
ズボンの裾から柄がちらっと見えたとき。靴を脱いで、靴下の色や表情が目に入ったとき。「やっぱり可愛いな」と思えると、それだけで少し気分が上がります。靴との合わせ方も大切ですが、靴下そのものを気に入って、今日はこれを履きたいと思ってもらえることを、僕は大事にしています。
TRICOTÉの靴下は、服に合わせる楽しさに加えて、それ自体にも存在感があってほしい。小さな面積の中でも、色や柄、素材の表情を楽しめるものをつくりたいと思っています。

靴下づくりで、特に大切にしているのは色と素材感です。
TRICOTÉでは、靴下のほかにもバッグや洋服、インテリアなど、いろいろなアイテムをつくっています。色の選び方は、それぞれ違います。靴下で柄をつくるときは、その柄がよく映える配色を考えます。同じ柄でも、組み合わせる色によって印象が変わるので、どの色を主役にして、どの色を合わせるかを探っていきます。
その中で心がけているのは、女性的にも男性的にも寄りすぎないこと。どちらかに振り切るより、その間にあるバランスを大切にしています。もちろん、デザインによって女性に向けた配色にしたり、男性にも取り入れやすい色を加えたりすることはあります。決まった色を使えばTRICOTÉらしくなるというより、一つひとつのデザインに合う色を選んでいます。
素材感については、いつもオリジナルの表情を探しています。糸を選び、柄を考え、編み方を試す。その組み合わせによって、色だけではつくれない表情が生まれます。

例えば、今も続いているバンピーシリーズの凹凸も、糸の使い方を変える中で見つけた面白さの一つです。本来は裏側で使う糸を表に出して柄を編むことで、生地に凹凸が生まれる。平らな柄とは違う、素材感の深みがあるところに惹かれました。
靴下をつくり始めた頃は、まだ知らないことも多く、試してみて初めて分かることがたくさんありました。最初から狙っていたというより、やってみたら思いがけず良いものができる。そうした発見を、次のデザインにつなげてきました。経験を重ねた今は、組み合わせた結果をある程度想像できるようになりましたが、新しいことを試したいという気持ちは変わりません。
良いと思える素材感に出会ったら、一度の商品で終わらせず、柄や色を変えながら繰り返し更新していく。新しいものを探すことと、見つけたものを育てること。その両方が、TRICOTÉの靴下づくりにはあります。
僕にとって、テキスタイルのデザインで一番楽しいのは、こうした組み合わせを考えることです。靴下という形は決まっていても、使う機械、糸、柄、編み方にはいろいろな選択があります。それぞれに条件や制約があるからこそ、その中で何を組み合わせるかを考える余地がある。同じ形の中から、違う表情のものが生まれるところが面白いんです。
靴下には、丈夫さや長く履けることを重視するつくり方もあります。TRICOTÉがデザインの中心に置いているのは、ファッションとしての楽しさです。色や素材感に特徴があって、少し目を引く。その存在を見て「素敵だな」と感じてもらえる靴下にしたいと思っています。
いつもの服から少しだけ見せてもいいし、靴を脱いだときに自分で楽しんでもいい。履き方を決めすぎず、その日の気分で選んでもらえたらうれしいです。足元に好きな色や柄があることが、また履きたくなる理由になってくれたらと思います。




